火の鳥2772 愛のコスモゾーン(昭和55年公開)
マンガ『火の鳥○○編』の映画化ではなく、アニメオリジナルの映画『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』は昭和55年に公開された。
この頃は2回目のアニメブームが続いていて、前年の昭和54年には『銀河鉄道999』、『ルパン三世カリオストロの城』が公開され、翌年の昭和55年は今に続く『ドラえもん』の映画も始まった。
テレビでは『機動戦士ガンダム』が昭和54年から55年にかけて放送、当時中学生だった私は夢中になっていた。
そんな時期に公開された『火の鳥2772』、総監督はマンガの神様手塚治虫だ。
手塚治虫の『鉄腕アトム』が1回目のアニメブームを作った。
昭和40年生まれの私は、白黒アニメの鉄腕アトムはほとんど見たことがない。
いや、見たのかもしれないがさっぱり覚えてない。
再放送で何度も見て覚えているのは手塚作品はカラーの『リボンの騎士』や『ジャングル大帝』なんかだ。
2回目のアニメブームは松本零士作品がその中心だったが、そこに手塚治虫が『火の鳥』で挑んだ形になった。
『火の鳥2772』の登場人物はロックやブラックジャック、ヒゲオヤジやお茶の水博士のように鼻のデカいサルタなど手塚作品でお馴染みの面々。
けれど主人公は映画オリジナルのゴドー。
これまでのどの手塚作品にも出てこない、アニメブームに乗っかったようなイケメンの主人公だ。
ロックとは兄弟で、サングラスを外してゴドーに「似ているだろ」なんて言うが似てないな。
映画の開始からしばらくは音楽だけでこのゴドーの成長記録。
小さい頃は手塚キャラだが成長するとカッコいい兄ちゃんで子供の頃の面影はない。
ヒロインはロボットのオルガ。
育児だけではなく変形して空を飛んだりかなり高性能なロボット。
同じ型のロボットがもっといるんだろうが、映画に出てきたのはオルガ1体だけだ。
手塚ファンの私としては、手塚治虫のキャラクター達が動き回るのは楽しかったが、アニメブームの最中の作品としては微妙だった。
ていうかウケないだろうと生意気盛りの私は思った。
手塚ファンの私としては悲しかったが、この頃のアニメブームの中で、手塚作品はチト古いだろうと。
銀河鉄道999にハーロックやエメラルダスが出てくるとテンションが上がるが、火の鳥にブラックジャックやヒゲオヤジが出てきてもテンションは上がらない。
そもそもブラックジャックなんて火の鳥に出さないで、単独でアニメ化して欲しかったな。
ブラックジャックが何でゴドーに理解を示しているのかよくワカラナイが、殴られて負けたフリして宇宙へ飛び立つのを見送った。
まあそんなストーリーの展開よりも、キャラクターが微妙に揺れているのが気になった。
髪、顎の線、輪郭、線が太くなったり細くなったり…。
映画館の大画面だから尚更気になったのだ。
私は神経質で細かい事が気になる質だが、何でこうなった?
とにかくゴドー一行は宇宙に脱出して火の鳥を探して対決。
マンガだと火の鳥はあんまり活躍するわけではないのだが、今回は大画面の映画なので火の鳥が大活躍だ。
でも途中からはマンガ版の姿になる。
声は竹下景子だったので、三択でクイズを出せばよかったのにな。
マンガの『火の鳥』はいまだに読み継がれているが、『火の鳥2772』はどうだろう。
『火の鳥2772』には当時の最新技術を導入したというが、別段当時の最新技術を導入してない昭和54年公開の映画『ルパン三世 カリオストロの城』は今見ても面白いけどな。
今の最新技術を導入すれば、微妙な揺れを修正したバージョンが出来るんじゃないだろうか。
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