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2023/01/19

ソニーのVHSビデオデッキ・SLV-7

SLV-7


昭和63年。
家庭用ビデオのベータマックス対VHSの規格争いはVHSが勝利した。
ベータ陣営の東芝やNEC、三洋なんかがVHSを販売し始めた。
残るソニーは「負けました」と宣言してベータマックスの製造販売を止めたわけではなかったが、世の大勢のVHSも販売し始めたのだ。
ベータ派だった私はベータが劣勢でもソニーがVHSを販売する事はないだろうと思っていたがさにあらず。

テレビ番組を録画して見るだけだったら、ベータだろうがVHSだろうがまあ関係がない。
ベータのテープはVHSに比べるとちょっと高く感じたが、まあ仕方がない。
当初はベータのテープもVHSのテープも似たような値段だったが、売れているVHSのテープはベータよりもどんどん安くなっていったのだ。
テレビ番組の録画はベータでもVHSでもどちらでもいいのだが、ビデオを借りて来て見るとなった時は問題だ。
レンタルビデオ店でVHSもベータも扱ってくれていればいいのだが、レンタルビデオはVHSがメインになっていった。
ベータではレンタルビデオを見れなくなったのだ。

SLV-7はソニーが発売した初めてのVHS録再機。
ベータはVHSよりも優れてますよと言っていたソニーがVHSを発売する。
なので性能の宣伝はせず、「機能が違う」「使い易さが違う」といったコピーになったのだろうか。
ブランドはソニーだったが、中身は日立製だという。
他メーカーとの差別化の為か、幅が当時の普通サイズ430mmより小さなミニコンポサイズ。
日立のビデオデッキは幅430mmのサイズだったから、ソニーはどこか削ったのか?

再生専用のSLV-P3という機種も同時に発売された。

こちらはまさにレンタルビデオ専用という趣だ。
レンタルビデオを見るだけだったらまさにコレでいいのだが、デザインがイマイチで買う気にならず。


SLV-7の幅は355ミリ、ミニコンポのサイズだ。
この頃のビデオデッキの幅は大抵が430ミリ。
それに比べると随分コンパクトだ。
中心部からやや左寄りの下にあるオーディオビデオ端子の主張がデカイ。



右側は操作パネル。
再生録画早送り巻き戻しなどの操作ボタンとエディットスイッチ。


パタンと開けると中にもスイッチ類。

画質も音質も標準的な、特に特徴はないが不満のない作り。
リモコンも多機能だ。

ベータマックスがVHSに敗北したとはいえ、ソニーはその後もベータを作り続けた。
8ミリビデオも販売していたし、これにVHSが加わったのだ。
ソニーは3つのフォーマットを販売するビデオメーカーとなった。
スゴいね。

とはいえVHS、8ミリビデオ、ベータマックスの3つすべてに同じように力を注いだわけではない。
あきらかにベータへの注力は減った。
ハイバンドベータで目立った機種はSL-2100ぐらいだし、EDベータなんて最初に出たEDV-9000が最高峰で、最後までモデルチェンジされなかったのだ。
まあ、敗軍だから仕方がない。
売れていれば力を注ぐんだろうけど、売れなかったからVHSを出したのだから。

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