エスパイ(昭和49年公開)
エスパイとはエスパーとスパイを足して作った造語。
小松左京の原作を映画化した。
石ノ森章太郎にSπ(エスパイ)というマンガがあるが、タイトルが同じだけで関係はなさそうだ。
映画の登場人物は若山富三郎、加山雄三、藤岡弘、由美かおる、草刈正雄などそうそうたる顔ぶれ。
本作公開の前年昭和48年には同じ小松左京原作の「日本沈没」が公開され大ヒット。
エスパイは翌年昭和49年の公開だが、ウィキペディアによれば昭和42年に製作発表されたが中止、超能力ブームに乗っかる形で製作が復活したという。
この頃はスプーン曲げのユリゲラーが有名になり、私も超能力者に憧れていた時期だ。
超能力を正義の為に使うエスパイと、地球征服を企む逆エスパイの戦い。
列車に乗っていた国連の調停員4人が射殺された。
犯人は列車の窓のブラインドを透視出来る逆エスパイの超能力者だった。
エスパイ側は警備もせず何をしていたかというと、新人の超能力者をスカウトしていた。
新人はドライバーの草刈正雄。
走行中に事故りそうになるが、念動力でそれを回避する。
走っている車を反対方向へと動かせる程の力だ。
だが、これ以降はこれ程の超能力を見せなかった。
まあ、画面に草刈正雄が出ていれば、それだけで結構な観客動員を見込めたのだろう。
原作には出てこないキャラクターなので、草刈正雄の為に作られたのだろうか。
主人公は藤岡弘。
エスパイの中ではイチバンの超能力者だが、戦いでは1割が超能力、残りは殴る蹴るの肉弾戦だ。
まあ、藤岡弘的ではある。
テレポーテーションは難しいのか、使えるエスパイはいない。
老師の話だと誰でも使えそうなのだがな。
ウルトラマンはテレポーテーションを使うと寿命が著しく縮むというし、かなり強そうな超能力者バビル二世は使えない。
そんなテレポーテーションを、閉じ込められた車から脱出する為に使えるようになった。
テレポーテーションもそうだが、由美かおると黒人シーンのような場面で超能力が発揮される。
逆エスパイも超能力者なのだから、相手の超能力を引き出させてしまうような事はしないくらいの知恵はありそうなものだがな。
エスパイ同士がテレパシーで会話するシーンは超能力者っぽくていい。
超能力を発揮する前に瞳に青い炎(?)が映るのもカッコいいな。
エスパイ側はあんまりいいところがなく話は進む。
原作だと話はもっと続くのだが、映画ではウルロフを親玉にして終了。
超能力が愛だよっていうのは何だよって感じは残るが。
ウィキペディアによれば製作期間は1ヶ月。
それでこの出来は、まあ大したものだ。
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