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2022/02/24

ソニーのビデオデッキ・EDV-9000

 ソニーのビデオデッキ・EDV-9000

EDV-9000

295,000円。

昭和62年9月発売。


EDV-9000はEDベータの1号機。

EDV-9000はベータマックスと呼ばずにEDベータビデオデッキとなった。

この頃は毎年1月8日にビデオ関連の発表が何かしらあった。

昭和62年はS-VHSの発表だ。

互換性重視の為に思い切った高画質化をしないと思っていたVHSがまさかのS-VHS化。

チマチマとハイバンド、スーパーハイバンドで高画質化してきたベータをあっさりと追い抜いた。

高画質がセールスポイントのベータがVHSに負けるわけにはいかないという事で、S-VHS対抗に発表したのがEDベータ。

水平解像度がS-VHSの400本に対してEDベータは500本。

テレビ録画するのにはかなりのオーバースペックだが、将来普及するかもしれないEDTVを見込んでの事だ。

自動車でも、制限速度以上のスピードは出る。

スペックには余裕があった方が画質は上がるのだろう。

もしS-VHSが出てこなかったらEDベータも出てこなかった?

それともいずれ出て来たのだろうか。

EDベータの開発開始はSL-HF3000の発表時だという。

S-VHSよりもEDベータの発表の方が早かったら、S-VHSのインパクトもさほどなかったかも知れない。


EDV-9000は発売当時の定価が295,000円。

当時のランナップの中では最高機種だ。

歴代ベータマックスの最高機種の価格は以下の通り。

SL-J7は279,000円。

SL-J9は298,000円。

薄さ8センチのSL-F11は278,000円。

ベータハイファイ初搭載のSL-HF77は299,000円。

ベータプロSL-HF900は意外(?)と安く239,800円。

EDV-9000のベースになったっぽいSL-HF3000は288,000円。

これまでの30万円を切る価格設定はEDベータになっても同様だ。

いくらマニア向けのEDベータとはいえ30万円を超えた値付けはしなかったのだ。

EDベータはベータの高画質バージョンだが、テープは専用のメタルテープを使用する。

なので従来のベータではEDベータの録画再生は出来ない。

EDベータ用のテープはED-Metal。

EL-500で3,500円、EL-250で2,800円。

なんとまあ、お高いことか。

EDベータ機では従来のベータも録画再生出来る。

いつもお高いEDベータテープを使っていたら大変なので、普段はノーマルのベータテープを、ここぞという時にED-Metalを使用だな。

EDベータは高画質の規格だが、音質はベータハイファイのままだ。

だがメタルテープを使うので、音も良くなってるんだろうか。

EDV-9000はEDベータになったがベータプロを名乗っている。

EDベータプロだ。

ベータプロらしくジョグシャトルリングがついていて編集はドンと来い。

ベースになったのはSL-HF3000っぽいが、EDV-9000には試作機のようなアクリルのパネルが前面についている。

もうちょっと試作機みたいに、ジョグシャトルリングの所まで覆ってもいいんじゃないのかな。

ベータ1sはナシ。

ナシなのだが隠しコマンドを使って使用出来る。


発売は昭和62年だが平成14年まで発売され続けた。

EDV-9000は1号機だったのだが、最終機にもなったのだ。

まあ、ベータに力を注いでいたら後継機も出たのだろうが、そんな事はなかった。

こんなに長い間発売されたのはビデオデッキとしては最長記録なのではないだろうか。

でも販売台数はビデオデッキでの最高記録ではないのだろう。


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2022/02/11

ソニーのカセットデッキ・TC-FX7その2

 ソニーのカセットデッキ・TC-FX7その2

ソニーは昭和55年、型番がTC-FX○○のデジックデッキを発売した。

それまでのTC-K○○シリーズは正統的、音質重視、大人向けって感じだが、デジックデッキは先進的、機能的、若者向けって感じ。

クラシックからいきなりポップスに変わったような雰囲気だ。

TC-FX6、59,800円。

TC-FX5、49,800円。

TC-FX4、43,800円。

この3機種は基本的なデザインが一緒で、値段が安くなるに従って機能も減っていく。

各メーカーが一番競う598はTC-FX6、性能とデザインが上手くバランスした製品だと思う。

これらの3機種とは明らかに違う上位機種がTC-FX7、定価79,800円。

パネル高7センチ(高さ8センチ)という、正立透視型としては限界?のカセットデッキだ。

なんたってカセットハーフが約64ミリというのだから、驚異的ではある。

TC-FX5やFX4の操作スイッチはテープの横にあるのに対して、TC-FX7はテープホルダーの前だ。

なのでイジェクトボタンを押すと操作スイッチも一緒に動く。

高さが8センチ(パネル高7センチ)という関係で、ここにしか設定出来なかったのだろう。

一列に並んだ操作スイッチは軽く触れるだけのフェザータッチ。

それまでのKシリーズのボタンはちょっとだけ押すって感覚があったけど、これはホントに触れるだけって感じだ。

テープカウンターは電子表示。

それまでのメカニカルなカウンターではなくなってカッコいい。

実際には時計ではないので、あくまでも時間表示は目安だ。

下位機種のTC-FX6についているAMSはついてない。

AMSはオートマチックミュージックセンサーの略。

テープの頭出しは各社が勝手な名称で呼んでいるが、テープの無録音部分を検知して頭出しをするものだ。

あればあったで便利だが、なくてもそんなに困らない。

ボリューム調整はスライド式。

この頃のデザインは丸っこいボリュームつまみを無くそうとしていたのだが、スライド式だと埃がたまるのが困る。

薄型にしたからか、ヘッドは2ヘッド。

79,800円という価格的に3ヘッドでもおかしくはない。

周波数特性もワウフラッターも798にしてはちと悪い。


先代の798、同じ79,800円のTC-K71の主な仕様は、

ヘッド:消去1、録再1、再生1

SN比:60db(ドルビーOFF、ピークレベル、DUADカセット)

周波数特性:20~20,000Hz(METALLICカセット)

ワウフラッター:0.04%WRMS

ひずみ率:0.8%(DUADカセット)

大きさ:430(幅)x130(高さ)x290(奥行)mm

重さ:約5.6kg

対してTC-FX7の主な仕様は、

ヘッド:消去1、録再1

SN比:59db(ドルビーOFF、ピークレベル、DUADカセット)

周波数特性:20~19,000Hz(METALLICカセット)

ワウフラッター:0.05%WRMS

ひずみ率:0.9%(DUADカセット)

大きさ:430(幅)x80(高さ)x340(奥行)mm

重さ:約6.5kg

という事で、カタログスペックではK71の方がいい。

とはいえ私では聞いて違いはわからないだろう。

当時の雑誌の評価なんかも悪くはなかったから、798なりの音は出したのだろう。

TC-FX6やFX5にはドルビーCを搭載したFX6C、FX5Cが出たのだが、FX7Cは発売されず。

どうしてだ?

入れるスペースがなかったのか?

昭和56年にはTC-FX77が発売されたが定価は798ではなく69,800円。

外観も普通のカセットデッキ。

デザイン最優先のFX7の後継機は出なかったのだ。


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