ソニーのビデオデッキ・EDV-9000
EDV-9000
295,000円。
昭和62年9月発売。
EDV-9000はEDベータの1号機。
EDV-9000はベータマックスと呼ばずにEDベータビデオデッキとなった。
この頃は毎年1月8日にビデオ関連の発表が何かしらあった。
昭和62年はS-VHSの発表だ。
互換性重視の為に思い切った高画質化をしないと思っていたVHSがまさかのS-VHS化。
チマチマとハイバンド、スーパーハイバンドで高画質化してきたベータをあっさりと追い抜いた。
高画質がセールスポイントのベータがVHSに負けるわけにはいかないという事で、S-VHS対抗に発表したのがEDベータ。
水平解像度がS-VHSの400本に対してEDベータは500本。
テレビ録画するのにはかなりのオーバースペックだが、将来普及するかもしれないEDTVを見込んでの事だ。
自動車でも、制限速度以上のスピードは出る。
スペックには余裕があった方が画質は上がるのだろう。
もしS-VHSが出てこなかったらEDベータも出てこなかった?
それともいずれ出て来たのだろうか。
EDベータの開発開始はSL-HF3000の発表時だという。
S-VHSよりもEDベータの発表の方が早かったら、S-VHSのインパクトもさほどなかったかも知れない。
EDV-9000は発売当時の定価が295,000円。
当時のランナップの中では最高機種だ。
歴代ベータマックスの最高機種の価格は以下の通り。
SL-J7は279,000円。
SL-J9は298,000円。
薄さ8センチのSL-F11は278,000円。
ベータハイファイ初搭載のSL-HF77は299,000円。
ベータプロSL-HF900は意外(?)と安く239,800円。
EDV-9000のベースになったっぽいSL-HF3000は288,000円。
これまでの30万円を切る価格設定はEDベータになっても同様だ。
いくらマニア向けのEDベータとはいえ30万円を超えた値付けはしなかったのだ。
EDベータはベータの高画質バージョンだが、テープは専用のメタルテープを使用する。
なので従来のベータではEDベータの録画再生は出来ない。
EDベータ用のテープはED-Metal。
EL-500で3,500円、EL-250で2,800円。
なんとまあ、お高いことか。
EDベータ機では従来のベータも録画再生出来る。
いつもお高いEDベータテープを使っていたら大変なので、普段はノーマルのベータテープを、ここぞという時にED-Metalを使用だな。
EDベータは高画質の規格だが、音質はベータハイファイのままだ。
だがメタルテープを使うので、音も良くなってるんだろうか。
EDV-9000はEDベータになったがベータプロを名乗っている。
EDベータプロだ。
ベータプロらしくジョグシャトルリングがついていて編集はドンと来い。
ベースになったのはSL-HF3000っぽいが、EDV-9000には試作機のようなアクリルのパネルが前面についている。
もうちょっと試作機みたいに、ジョグシャトルリングの所まで覆ってもいいんじゃないのかな。
ベータ1sはナシ。
ナシなのだが隠しコマンドを使って使用出来る。
発売は昭和62年だが平成14年まで発売され続けた。
EDV-9000は1号機だったのだが、最終機にもなったのだ。
まあ、ベータに力を注いでいたら後継機も出たのだろうが、そんな事はなかった。
こんなに長い間発売されたのはビデオデッキとしては最長記録なのではないだろうか。
でも販売台数はビデオデッキでの最高記録ではないのだろう。
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