海底軍艦
昭和38年公開
押川春浪の小説『海底軍艦』の映画化。
小説『海底軍艦』は現在青空文庫で読めるが、タイトルは『海底軍艦』の前に『海島冐險奇譚』と付いている。
カイトウボウケンキタンだ。
青空文庫→海島冐檢奇譚 海底軍艦
読んでみればわかるが、小説と映画はほとんど関係がない。
海底軍艦の名前も映画は轟天だが小説だと電光艇だ。
海底軍艦のタイトルを使ったまったく別の作品と考えよう。
海底軍艦というが、実際は海底だけではなく空も飛べる万能戦艦、それが轟天号。
とにかくこの轟天号がカッコいい。
ウィキペディアによれば全長は150メートル、重量1万トン。
この大きさで海中を航行するだけではなく空も飛ぶのだ。
艦首がドリルになっているのがポイント高い。
なんでこのドリルってカッコよく見えるんだろうか。
陸海空すべてで活躍出来るマイティ号というのがあるが、その元祖的な艦だ。
轟天号の敵はムウ帝国。
大層な科学力を誇っているはずだが、誇っている割には武器が槍や剣だったりする。
ビームとか使えないものなのか。
ムウ帝国が人類の敵になるほどの強さだというのがあんまり伝わってこない。
そんなムウ帝国は、昔植民地だった地上の返還を要求してくる。
昔植民地だったからって、今返還を要求するって、どんな理屈だ?
まあ、こうやって戦争を仕掛けてくるのだから、勝てるという勝算はあるのだろう。
当然のように、ムウ帝国の要求はあまりにも馬鹿げたものと国連は判断する。
このムウ帝国が恐れるのがほとんどの人に知られていない海底軍艦。
ムウ帝国は最後に轟天に破れるのだから、その情報収集力は大したものだ。
ムウ帝国を守護する怪獣がマンダ。
竜のような怪獣だ。
東宝怪獣だが本作ではオマケ程度。
なんでオマケかというと、さっぱり強くないからだ。
いや、マンダは本来強いのだが、海底軍艦が強すぎるという事だろうか。
まあ怪獣も出るよって話にすると宣伝もしやすいんだろう。
ウルトラQに出てきた怪竜はこのマンダの流用だそうだ。
ゴジラ映画『怪獣総進撃』にも登場した。
ムウ帝国の弱さに対して海底軍艦の強さ。
海底軍艦の完成が間に合っていれば日本が戦争に負けるなんてことはなかったハズだ。
せっかくだからゴジラのようにシリーズ化すればよかったのではないか。
毎回襲ってくる東宝怪獣やら宇宙人やらと戦う海底軍艦。
この1作だけで終わらせたのは勿体無い。
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