幻魔大戦
昭和58年公開
角川のアニメ映画第1弾、それが『幻魔大戦』だ。
『幻魔大戦』は小説家の平井和正と石ノ森章太郎(当時は石森)が原作のマンガ。
秋田書店のサンデーコミックスで全2巻が発売されていて、石ノ森ファンだった私は小学生の時に読んだが、こんなところで終わるのかって感じで中途半端だった。
小説は平井和正が書いていて、コチラは中学生の時から読み始めたが、物語が途中から幻魔との戦いより組織内の話ばかりになったがナントカ読み続けていた。
そんな幻魔大戦の映画化だった。
映画のキャラクター達を初めて見て、あれ?マンガと全然違うと思ったのだが、そう、マンガの作画は石ノ森章太郎だったが、映画のキャラクターデザインは大友克洋になったのだ。
石ノ森ファンの私としては原作通りのキャラも見てみたかった。
どんな事情があったか知らないが、Wikipediaには、
『大友の起用は監督のりんたろうからの推薦による。マッドハウス社長の丸山正雄は、ヒロイン・ルナのデザインを可愛らしいものにするよう要望したが、大友は「可愛い顔は描けない」としてこれを拒んだ。製作者の角川春樹も、大友の『気分はもう戦争』を読んで、その腕を高く評価していたが、原作者の平井和正は「主人公の顔つきが陰険だ」と大友の起用にクレームをつけた。りんたろうは「大友じゃないなら自分はやりたくない」と降板を示唆し、さらには石森章太郎まで絡む拗れた経緯を辿ったため、後に角川は「『幻魔大戦』は角川映画で最も揉めた作品で、流石の私も疲弊しましたね」と述懐している』
とある。
映画の冒頭に早速ルナ姫が出てくるが、なるほどこれはカワイクない。
もし大友が降板し監督もりんたろうから代わっていたら、石ノ森キャラクターの幻魔大戦が見られたかもしれない。
映画の公開が迫ってくると、歌詞はわからなくてもサビのメロディーだけは覚えた英語のテーマソング「光の天使」に乗って、「ハルマゲドン接近」のTVCMがどんどん流された。
同じ時期に『クラッシャージョウ』と『宇宙戦艦ヤマト完結編』が公開されるので、三つ巴の集客合戦が起こっていたのだ。
Wikipediaによれば、
『配給収入10億6000万円は、同日封切の『クラッシャージョウ』を大きく離すばかりか、『宇宙戦艦ヤマト 完結編』『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』を上回るほどに健闘し、アニメ映画としては同年首位の興行成績であった。』
という。
『クラッシャージョウ』もいい作品だったと思うが、やっぱりこの頃のカドカワ映画は勢いがあったのだ。
幻魔と戦うキャラクターはサイオニクス戦士という超能力者たち。
主人公の東丈、王女ルナ、サイボーグのベガ、クンフー使いのタオ、黒人のソニーなどなど全員が目立つわけではないが超能力は子供の憧れ、超能力「絶対零度」はカッコよかった。
全宇宙規模で侵攻する幻魔に対して今回は地球での戦いのみだが物語は完結。
スケールを大きくし過ぎたら終わらないからだろう。
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