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2022/03/17

【映画の感想】日本沈没

 日本沈没(昭和48年公開)


小松左京の小説『日本沈没』を映画化した。

原作は上下巻が発売され、ウィキペディアによれば上巻が204万部、下巻が181万部、合計385万部も売れた大ベストセラーだ。

私は映画の公開からずっと後、それも古本屋で買ったので、この数字には含まれてないだろう。

下巻の方が少ないが、上巻を読んでイマイチと感じ下巻は買わなかったのだろうか。

私は半分読んだらば残りも読まないと気持ち悪く感じるのだが、そうでない人も一定数いるのだ。

映画も原作同様大ヒット。

昭和49年邦画部門の配給収入第1位だ。

東宝の特撮映画だが、ゴジラや他の怪獣が出てくるわけではない。

宇宙人が攻めてくるわけでもない。

それでも日本が沈没するというインパクトは怪獣や宇宙人よりも大きかった。

数年前から公害が問題になっていたし、オイルショックなんてのもあった。

紙が不足し毎月買っていたテレビマガジンが薄くなった。

何となくどよよーんとした空気にマッチしたのが『日本沈没』だったのだ。

で、『日本沈没』のヒットがさらにどよよーんとした空気を加速した。

テレビシリーズにもなった。

ウィキペディアによれば、最初からテレビシリーズになる事は決まっていたそうで、撮影も一緒にしていたそうだ。

映画ではテーマソングはなかったが、テレビでは五木ひろしの主題曲が印象的。


映画の主人公は小野寺役の藤岡弘だが、総理大臣役の丹波哲郎も主役っぽい。

小野寺は藤岡弘が演じるだけあって熱血漢っぽいが、さっさと日本から脱出しようとするドライさもある。

だが行方不明になったいしだあゆみ演じる玲子を探しながら人々を助ける事になった。

この辺の描写はほとんど駆け足。

まあ全体的に詰め込んだ映画なので仕方がない。

田所博士はちとコミュニケーションのとりづらい学者。

沈む日本に留まるが、日本から脱出しない人間も一定数いたのだろうな。


映画の前半では早くも東京が壊滅。

関東大震災の再来だ。

ゲームでいえばラスボスを倒したような感じなのだが、実は物語の核心はこれからだ。

日本が沈没するという研究のDワン計画から、日本人が日本を脱出するDツー計画へと移行する。

小松左京は日本を失った日本人を書きたかったのだ。

『日本沈没』が公開された翌昭和49年には『ノストラダムスの大予言』が公開された。

コチラもベストセラーになった五島勉の「ノストラダムスの大予言」を映画化したものだが、『日本沈没』が大ヒットしたのだから、『続日本沈没』を作ろうという話はなかったのだろうか。

『日本沈没』自体は人気があって、再映画化、アニメ化もされている。


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