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2023/04/10

TC-K88とリニアスケーティングメカ

 TC-K88


昭和54年

158,000円

ソニーのTC-K88はエスプリシリーズ唯一のカセットデッキ。

高さが8センチというスマートなカセットデッキだ。

女性の腰を細く見せる為に発達したコルセットのような役割をしたのがリニアスケーティングメカ。

コレによってカセットデッキが薄〜く見えるのだ。

オープンボタンを押すとデッキ部が丸ごと出てきて、カセットテープは垂直ではなく水平に入れる。

水平にセットするので、垂直にセットした時のような高さを気にせずに済む。

水平にセットするカセットデッキはそれまでもあったが、スイッチ類も上にあったのでステレオの一番上にしか設置出来なかった。

リニアスケーティングメカによって、ステレオの一番上じゃない場所にも設置出来るようになったのだ。

ヘッド:消去1、録再1

SN比:60db(ドルビーOFF、ピークレベル、DUADカセット)

周波数特性:20~20,000Hz(METALLICカセット)

ワウフラッター:0.03%WRMS

ひずみ率:0.9%(METALLICカセット)

大きさ:480(幅)x80(高さ)x385(奥行)mm

重さ:10kg


TC-K88の後継機は出なかった。

売れれば後継機を出すだろうから、売れ行きは芳しくなかったのだろうか。

ソニーでは他にもこのメカを使ったカセットデッキがある。


TC-FX606R


昭和58年

69,800円

デジックデッキFXシリーズの1台。

型番のRが示す通りオートリバースを搭載だ。

ヘッド:消去1、録再1

SN比:59db(ドルビーOFF、ピークレベル、DUADカセット)

周波数特性:30~17,000Hz(METALLICカセット)

ワウフラッター:0.065%WRMS

ひずみ率:0.5%(DUADカセット)

大きさ:幅430x高さ80x奥行310mm

重さ:5.6kg


TC-V7


昭和58年

68,000円

高さが8センチで薄いのだが幅も355mmとコンパクトで、ソニーのミニコンポリバティ用のカセットデッキ。

ヘッド:消去1、録再1

SN比:58db(ドルビーOFF、ピークレベル、MTALLICカセット)、71dB(ドルビーNR・Cタイプ)

周波数特性:30~15,000Hz±3dB(METALLICカセット)

ワウフラッター:±0.065%WRMS

ひずみ率:0.5%(DUADカセット)

大きさ:幅355x高さ80x奥行280mm

重さ:5.0kg


TC-V77FR


昭和59年

59,000円

TC-V7の後継機で型番がウルさくなった。

7が77になるのはともかくFRって何だ。

ヘッド:消去1、録再1

SN比:58db(ドルビーOFF、ピークレベル、METALカセット)、71dB(ドルビーNR・Cタイプ)

周波数特性:30~15,000Hz±3dB(METALカセット)

ワウフラッター:0.06%WRMS

ひずみ率:0.5%(METALカセット)

大きさ:幅355x高さ80x奥行245mm

重さ:4.5kg


リニアスケーティングメカはソニーの専売特許というわけでもなく、他メーカーでもある。


D-E3


昭和56年

48,800円

日本ビクターのカセットデッキD-E3。

『これはもう未来、薄型ファッショナブル・デッキ』とカタログにあるが、ぱっと見はカセットデッキには見えない姿は確かにファッショナブル。

パネル高は8センチどころか5.4センチ。

幅も34センチでコンパクトなミニコンポサイズ。

右下のオープンスイッチを押すとデッキ部がせり出してくる。

ビクターのカセットデッキはカセットホルダーが右側にあるのだが、リニアスケーティングメカでもカセットが右にあるのは変わらない。

ヘッド:消去1、録再1

SN比:54db(メタルテープ)

周波数特性:30~16,000Hz±3dB(-20VU録音、メタルテープ)

ワウフラッター:0.05%WRMS

ひずみ率:0.5%(1kHz、3次高調波ひずみ率、メタルテープ)

大きさ:幅340x高さ59x奥行258mm

重さ:約4kg


SD-50


昭和56年

54,800円

日本マランツのカセットデッキ。

同じ型番でSD-50という別のカセットデッキがあるのが紛らわしい。

他のメーカーの型番ならまだしも、同じ日本マランツなのはどういうわけだ。

ヘッド:消去1、録再1

SN比:58dB(EIAJ)

周波数特性:30~16,000Hz(±3dB/METAL)

ワウフラッター:0.05%WRMS

大きさ:幅416x高さ73x奥行310mm

重さ:5.5kg


上位機種のSD-5010(69,800円)もある。

こちらはメーターが針式ではなくLEDピークレベルメーターで、値段相応にSD-50より高そうに見える。


ソニー、ビクター、マランツのどの機種も薄さ、スマートさがセールスポイント。

それ以外の利点はないのか、主流にはならなかった。


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