SL-HF77
昭和58年発売
定価299,000円
コズミ家ではベータマックスSL-F11を使っていた。
SL-F11はビデオプロフィールの愛称通り、高さが8センチと薄くてカッコイイ。
奥行は結構あるのだが、まあ正面から見るだけだから問題はない。
従来の機種で録画したビデオテープをSL-F11で再生すると、冒頭40秒ほどが再生されないという。
この8センチを作る為に多少の互換性を犠牲にしたのだ。
ベータ1を早々に見切って再生だけにしたソニーらしい。
SL-F11は画質も当時のベータマックスの中ではナンバーワンだった。
VHSを含めてもイチバンだった(個人の感想)。
ソニーがSL-F11の次に出した最上位機種は音声を進化させたハイファイビデオ、SL-HF77だ。
またまた新しい規格の登場になる。
それまでのビデオの音はあんまりイイ音ではなかった。
それがカタログスペックで、音声周波数特性 20Hz~20kHz、音声ダイナミックレンジ 90dB、音声ワウ・フラッター 0.005%WRMS以下という高性能になったのだ。
SL-HF77はデザインはSL-F11を少し厚くしたような感じで、高さが10.5センチ。
ベータハイファイを高さ8センチに収めるのは無理だったのだろう。
厚くなった本体の左側にはオーディオっぽくレベルメーターがついている。
録画再生、早送り巻き戻しなどの操作スイッチ以外はパネルに隠されている。
SL-F11はパネルを開けると本体側にスイッチがあったのだが、 SL-HF77ではパネルにスイッチがくっついている。
コレは使いやすくていい。
SL-F11だとスイッチが押しにくかったのだ。
でもちょっとオモチャっぽくもあって高級感はない。
音声はベータハイファイのおかげでSL-F11以上、でもベータノイズリダクションやF11で録画した音声多重放送は主従が混ざって聞こえる。
SL-F11は画質がよかったので、単純にその画質にハイファイ音声がプラスされたと思っていたのだが、それがどうした、画質が悪い。
それまでのソニーは解像度を重視した画作りだったのが、どこかボヤけた画になってしまったのだ。
色が多少淡くても、解像度バッチリがソニーの画作り。
それがボケボケの画になってしまったのだ。
絵作りの傾向を変えたなんていう言い訳も聞いたような気もするが、下位機種ならまだしも30万円近い最上位機種なのだから不満は大きい。
コレはベータハイファイの音声記録が映像記録に干渉するからだそうだ。
せっかく音が良くなったのに、画質がこれじゃあね。
ベータハイファイ発売Ⅰヶ月後にはライバルのVHSもハイファイビデオを発表した。
VHSハイファイはベータハイファイとは方式が違い深層記録方式というもので、コチラは解像度の劣化がない。
ベータハイファイはこの後、劣化した画質を取り戻し、高画質化を図ったハイバンドベータハイファイを出すことになるのだ。
■■■主な仕様
●大きさ:幅430x高さ105x奥行355mm
●重さ:11.2kg
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