TC-FX6
昭和55年発売。
定価59,800円。
ソニーのカセットデッキはそれまでKシリーズ、その中低価格帯を置き換えるTC-FX○○が型番のデジックデッキが登場した。
この頃のカセットデッキはどんどん進化していった。
メタルテープ、電子カウンター、テープの頭出し、VUメーターからレベルメーターへ、リモコン等々。
そんな時代のカセットデッキがデジックデッキ。
カセットデッキの定価59,800円という価格帯には各メーカーの多くの製品が発売されていて激選区だったが、その価格に登場したのはTC-FX6。
針式のレベルメーターがLEDになった。
針は針で味があるが、ピークプログラムメーターは先進的っぽさがあるのがかっこいいのだ。
アナログ=旧式、デジタル=最新式というのが当時の認識。
0dBより上は赤なので華やか。
それまでの機械式のテープカウンターはリニア電子カウンターになった。
ただ電子式に置き換えただけのカウンターもあるが、ソニーではちゃんとテープの走行時間が表示されるのだ。
テープの頭出し、AMS(オートマチック・ミュージック・センサー)。
聴きたい曲をすぐに聴きたい、そんな希望を叶えてくれるのが頭出し。
テープの無録音部分(4秒程度)を感知して、そこから再生してくれるのだ。
でもテープなので、次の曲ぐらいならすぐに再生されるが、9曲目ぐらいになると結構時間がかかったりする。
少なくとも、瞬時にというわけにはいかない。
でも便利だしセールスポイントにもなるのでオーディオメーカー各社はこぞって搭載した。
同じ機能だが、各社のネーミングは違っていた。
アイワはミュージックセンサー。
そのまんまのネーミングだが、わかりやすい。。
サンヨー(オットー)はAMSS(オートマチック・ミュージック・セレクト・システム)、ソニーと似ているがコッチはSが1個多いしセンサーではなくセレクトシステムだ。
シャープ(オプトニカ)はAPSS(オート・プログラム・サーチ・システム)。
東芝(オーレックス)はMQSS(ミュージック・クイック・サーチ・システム)、MQJS(ミュージック・クイック・ジャンプ・システム)。
パイオニアはPMS(パイオニア・ミュージック・セレクト・システム)。
他社とは違いますよっていうアピールかパイオニアと社名を入れている。
ビクターはMUSIC SCAN(ミュージックスキャン)。
日立(ローディ)はDRPS(デジタル・ランダム・プログラム・セレクター)。
松下電器(テクニクス)はTPS(テープ・プログラム・センサー)。
リモコンもあるが別売りだ。
ワイヤードだと6,000円、ワイヤレスだと3倍の18,000円。
TC-FX6のボリュームはスライド式。
カタログには、『ある意味デジックデッキの1番の特徴かもしれません』と書かれている割には下位機種のFX4は従来の丸いツマミだ。
まあでも確かにデザイン上では1番の特徴かもしれない。
パネル面をいかに平面にするかというのがデザインの方向性だったようだ。
後から発売される最上位機種のTC-FX1010ではついにパネル面の出っ張りはなくなってフラットになる。
再生や停止早送り巻き戻しなどの基本ボタンはそっと触れるだけ、フェザータッチオペレーションからさらに進んだファインフェザータッチオペレーション。
TC-Kシリーズとは違ってボタンが大きくなり、レベルメーターとともに見た目が華やかになった。
1年後にはドルビーNR・Cタイプを搭載したTC-FX6Cが発売された。
TC-FX6の主な仕様
●ヘッド:消去1、録再1
●モーター:BSLグリーンモーター1、ハイトルクモーター1
●SN比:59dB(ドルビーOFF、ピークレベル、DUAD、METALLICカセット)
●周波数特性:20〜19,000Hz(DUAD、METALLICカセット)
●ワウ・フラッター:0.04%WRMS
●ひずみ率:1.0%DUAD、METALLICカセット)
●大きさ:幅430x高さ105x奥行275mm
●重さ:5.5kg
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