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2017/09/11

誰かが来る


アルツハイマー型認知症の母は夜の8時前には布団に入る。
風呂に入ってから寝る時もあれば、眠いからと言って風呂に入らずに眠る時もある。
布団に入ってすぐに眠ればいいが、寝ないで起きてくることがある。
誰かが来るからと起き出すのだ。
誰かが来るから、誰かの分の布団を敷く。
外へ出て行かない分まだマシかも知れない。

誰かが来るからの誰かとはいろいろ変わる。
一番多いのは息子が帰ってくるという主張だ。
8割はそうだ。
いつも帰ってくるのは息子だという記憶だけが、一人歩きしているのか。
母は毎日の夕方、そろそろ息子が帰ってくるだろうと思っている。
で、実際に息子の私が帰って来る。
この帰ってきたという記憶はなくなり、帰ってくるだろうだけが残っている。
息子は目の前にいるので、誰も来るはずはない。

息子以外だと、夫、弟、イトコ、よくわからない人などなど。
母の夫は私の父だが、いつも仕事に行っていたから帰ってくると思うのはまだわかる。専業主婦だった母は朝に父を仕事を送り出し、夕方は帰りを待っていたのだろう。
弟もまあわかる。イトコはなんでなんだろう。

よくわからない人は母自身がよくわからない。
「誰が来るの」と聞いても、「誰だっけ。よくわからない」とか言う。
わからない人が今頃来ないだろって言っても来ると言い張る。
誰かが来るという結論ありきで行動しているのだ。

誰かが帰ってくると言い出した母は、自分の寝ていた布団をずらし、スペースを作る。
そこに新たに布団を敷き出す。
誰かが帰って来るので、その人が寝る場所だ。

敷いた布団の横に座ってじっと待っているが、眠いのだろう。
すぐにうつらうつらし始める。
だが、「眠いんだから、眠ったら」と言っても「帰って来るまで待ってる」と言う。
言い張るので放っておく。
そのうち眠気をこらえきれなくなり、布団に入って眠る。
『そのうち』が1時間ぐらいになる時もある。
一回寝てしまうと、トイレなんかで途中で起きても、誰かが帰ってくるなんてことは言い出さない。

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