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2022/03/31

火の鳥2772には主題歌がない

 火の鳥2772 愛のコスモゾーン(昭和55年公開)

昭和53年に手塚治虫の映画『火の鳥黎明編』が公開された。

実写映画だが、火の鳥をはじめ時折アニメが混ざる。

実写のマンガに似せたキャラクターも悪くはない、悪くはないのだがやはり全編がアニメの火の鳥が見たかったと言うのが正直なところ。

次はフルアニメーションになるという話を聞いてやったーと喜ぶ私。

順番からいって未来編か、それとも鳳凰編かと色々予想していたのだが、製作されたのはまさかの映画オリジナル『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』。

ならば手塚治虫がマンガ化して『2772編』を描いてもらいたかったがそれはナシ。

まあ、映画も手塚治虫本人が作ったものなのだが、マンガはマンガとして読んではみたかった。

手塚治虫本人ではないが、御厨さと美が書いたマンガはあるが未読。



『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』は西暦2772年の話と思いきやそうではない。

舞台は22世紀の初めだ。

2772はともかく、副題の愛のコスモゾーンとはなんぞや。

本作に登場の火の鳥がコスモゾーン2772と呼ばれているのだ。

よくわからない生き物に1から番号を振っていき、2772番目が火の鳥なのだ。

コスモゾーンとは結局よくワカラナイが、生と死をテーマにした火の鳥っぽい雰囲気はある。


『火の鳥 黎明編』では愛のメモリー松崎しげるが主題歌を歌っていたが、『火の鳥2772』にはない。

松崎しげるの火の鳥はテレビで1回か2回しか聞いたことがないが、結構覚えている。

『火の鳥2772』と同じ昭和55年公開の映画では、『地球へ…』ではダカーポ、『ヤマトよ永遠に』では布施明、『サイボーグ009』では町田義人が主題歌を歌っている。

『地球へ…』は映画を見なかったのだが、主題歌は覚えている。

テレビで結構聞いたのだろう。

『火の鳥2772』ではあえて主題歌を使わないというこだわりがあったのだろうが、主題歌がないと公開前の宣伝でも盛り上がらない。

『銀河鉄道999』なんてゴダイゴが歌って大ヒット、公開前からテンションが上がった。

ヤマトや999は友達と見に行っていたのだが、『火の鳥2772』は一緒に行く友達はおらず一人で見に行った。

主題歌もあってもうちょっと盛り上がっていたら、観に行く人ももう少し増えたかもしれない。

この後『火の鳥 鳳凰編』は渡辺典子、テレビでは中島美嘉が主題歌を歌っている。

やはり主題歌はあった方がよかったな。


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2022/03/24

【映画の感想】ゲゾラ・ガニメ・ガメーバ 決戦!南海の大怪獣

 ゲゾラ・ガニメ・ガメーバ 決戦!南海の大怪獣(昭和45年公開)

映画のタイトル通り、本作には3匹の怪獣が登場する。

東宝映画だが、ゴジラやモスラといった既存の怪獣ではなく、すべて新怪獣だ。

一匹目はゲゾラ。

元々舞台になる島にはゲゾラという怪物の伝承があったようだが、映画に出てきた個体の事ではないのだろう。

イカに宇宙生物が取り憑いて巨大化した怪獣。

子供の頃雑誌なんかで見たコイツの絵が怖かった。

怪獣じゃなくても、イカっていうのはカタチが気持ち悪い。

それが大きくなるんだから怖いのだ。

ゲゾラはイカのくせに海中だけではなく地上も闊歩する。

デカいのだが、ドシンドシンと歩かないで、フワフワした感じで歩き回る。

それがまた気持ち悪い。

火に弱いのでガソリンを撒いて火をつけた。

海に逃げ込んだが、ここで復活するのかと思ったらそのまま死んだ。

映画のポスターは3匹が戦っているような場面だが、メインっぽい怪獣のゲゾラは一番に退場だ。


2匹目はガニメ。

宇宙生物が今度はカニに取り憑いた。

カニだけあって甲羅で覆われているので体が硬い。

ただ目は硬くないのでライフルで撃たれたのは効いたようだ。

退治されたと思ったのだが実は生きていて最後にカメーバと戦う。


3匹目はカメーバ。

コイツだけ普通の状態の姿が最初の方に出てきており、宇宙生物に取り憑かれて怪獣化した。

カメだけあって首を出したり引っ込めたりする。

ガニメとカメーバは甲羅つながりで、どっちがどっちだか曖昧だ。

もうちょっと離れた関係の生物に取り憑いて(例えば鳥とか)暴れた方がウケた気はする。

ガニメと戦うがどちらも光線とか出したりしないので、殴り合ったりするだけのちょっと長めの対決が退屈だ。


宇宙生物が取り憑いたとはいえ、3匹とも元々の生物が大きくなっただけの怪獣だ。

生物図鑑に載ってない怪獣とはチト違ってインパクトが弱い。


怪獣ではないが、登場人物の一人、佐原健二演じる小畑にも取り憑く。

取り憑かれてもなぜか怪獣のようには巨大化はしてない。

小畑の正体は産業スパイなのだが、最初から怪しさ満載だ。

スパイとしてはもうちょっと控えめにしていた方が、スパイの成功率は上がるんじゃなかろうか。

で、途中でバレてあっさりスパイであることを認めた。

最後は改心して火口に飛び込んだけど、あんまり感動はナシ。


舞台は南の島で物語は進む。

怪獣が都会に出てきて都市を破壊なんてシーンは一切なし。

自衛隊が怪獣を攻撃するなんてシーンもないのも物足りない。

でも実際に自衛隊が攻撃したら、あっという間に退治できてしまいそうだ。


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2022/03/17

【映画の感想】日本沈没

 日本沈没(昭和48年公開)


小松左京の小説『日本沈没』を映画化した。

原作は上下巻が発売され、ウィキペディアによれば上巻が204万部、下巻が181万部、合計385万部も売れた大ベストセラーだ。

私は映画の公開からずっと後、それも古本屋で買ったので、この数字には含まれてないだろう。

下巻の方が少ないが、上巻を読んでイマイチと感じ下巻は買わなかったのだろうか。

私は半分読んだらば残りも読まないと気持ち悪く感じるのだが、そうでない人も一定数いるのだ。

映画も原作同様大ヒット。

昭和49年邦画部門の配給収入第1位だ。

東宝の特撮映画だが、ゴジラや他の怪獣が出てくるわけではない。

宇宙人が攻めてくるわけでもない。

それでも日本が沈没するというインパクトは怪獣や宇宙人よりも大きかった。

数年前から公害が問題になっていたし、オイルショックなんてのもあった。

紙が不足し毎月買っていたテレビマガジンが薄くなった。

何となくどよよーんとした空気にマッチしたのが『日本沈没』だったのだ。

で、『日本沈没』のヒットがさらにどよよーんとした空気を加速した。

テレビシリーズにもなった。

ウィキペディアによれば、最初からテレビシリーズになる事は決まっていたそうで、撮影も一緒にしていたそうだ。

映画ではテーマソングはなかったが、テレビでは五木ひろしの主題曲が印象的。


映画の主人公は小野寺役の藤岡弘だが、総理大臣役の丹波哲郎も主役っぽい。

小野寺は藤岡弘が演じるだけあって熱血漢っぽいが、さっさと日本から脱出しようとするドライさもある。

だが行方不明になったいしだあゆみ演じる玲子を探しながら人々を助ける事になった。

この辺の描写はほとんど駆け足。

まあ全体的に詰め込んだ映画なので仕方がない。

田所博士はちとコミュニケーションのとりづらい学者。

沈む日本に留まるが、日本から脱出しない人間も一定数いたのだろうな。


映画の前半では早くも東京が壊滅。

関東大震災の再来だ。

ゲームでいえばラスボスを倒したような感じなのだが、実は物語の核心はこれからだ。

日本が沈没するという研究のDワン計画から、日本人が日本を脱出するDツー計画へと移行する。

小松左京は日本を失った日本人を書きたかったのだ。

『日本沈没』が公開された翌昭和49年には『ノストラダムスの大予言』が公開された。

コチラもベストセラーになった五島勉の「ノストラダムスの大予言」を映画化したものだが、『日本沈没』が大ヒットしたのだから、『続日本沈没』を作ろうという話はなかったのだろうか。

『日本沈没』自体は人気があって、再映画化、アニメ化もされている。


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2022/03/10

【映画の感想】大怪獣ガメラ

 大怪獣ガメラ(昭和40年公開)

東宝にゴジラがいるならば、大映にはガメラがいる。

ゴジラの公開は昭和29年だが、それから11年後の昭和40年に『大怪獣ガメラ』は公開された。

私が生まれたのは昭和40年なので、同い年のガメラにはなんとなく親しみがわく。

ガメラが還暦になれば私も還暦だ。


この頃のゴジラ映画はカラーだが、昭和29年の第1作目『ゴジラ』はモノクロ作品。

昭和37年公開の第3作『キングコング対ゴジラ』からカラーになった。

『大怪獣ガメラ』は昭和40年公開なのだがモノクロだ。

予算が取れなかったのだろう。

『大怪獣ガメラ』のヒットのおかげでガメラ映画はシリーズ化、2作目の『ガメラ対バルゴン』からはカラー作品だ。


子供を助ける人類の味方ガメラも、第1作の本作ではまだ人類の敵。

魅力は何と言ってもガメラという怪獣。

ストーリーは核爆弾でガメラが復活、暴れまわる怪獣対人類というパターンなので新鮮味はない。

それをいかに面白くするかは強烈なキャラクターが必要だ。

ゴジラは空想の生物だが、ガメラは大きいとはいえカメ。

誰もが知ってるし、ペットで飼ったりもして馴染み深い。

映画に出て来るカメ好きの少年も、隠れて飼ったりしている。

灯台でこの子供を助けたのも、カメ好きだとガメラがわかったからだろうか。


ガメラはカメとはいっても怪獣。

ただデカいだけではなく、ぐるぐる回って空を飛ぶ。

目が回るんじゃないかと心配になるくらい、早いスピードで回転して空を飛ぶのだ。

世界のアチコチで空飛ぶ円盤騒ぎが起こるが、それは空飛ぶガメラの仕業。

誰もカメが空を飛ぶなどとは思わないだろう。

地上での大きさに比例した重厚な動きではなく、素早い動きはアニメーションだ。

空を飛ぶ姿はエスキモーに伝わる石にも描かれていた。


カメの弱点はひっくり返すと自力では起き上がれなくなるというものだ。

デカいカメのガメラに対しても自衛隊が攻撃してひっくり返す。

手足を引っ込めたガメラを見て「手も足も出ないとはあの事さ」と笑っていたらジェット噴射で空を飛び危機を脱出するガメラ。


東京に来て暴れまわるガメラ。

この倒せないガメラをどうするか。

Zプラントいう、ガメラをロケットで火星に送ってしまおうという作戦に出た。

元々火星に行く計画だったロケットにガメラを乗っけてしまおうという作戦だが、火星にとってはいい迷惑。

もし火星人がいたらクレームが殺到しそうだ。

Zプランは成功しガメラは火星に追放された。

だかガメラは死んだわけではない。

ここから次回作『ガメラ対バルゴン』が始まるのだ。


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2022/03/03

ソニーのビデオデッキ・ベータプロ

 ソニーのビデオデッキ・ベータプロ

SL-HF900

239,800円。

昭和60年はベータマックス発売10周年。

電気店でもらった10周年記念グラスはずっと使っていたが、残念ながら最近割れてしまった。


ベータプロの初代SL-HF900はベータマックス発売10周年記念モデルだ。

ベータマックスという名称も『ニュー』がついてニューベータマックスとなっている。

ベータプロSL-HF900がニューベータマックスと名乗っても、この機種で一気にすべて新しくなったわけではない。

ベータマックスは以前から少しずつ変化を繰り返して来た。

標準のベータ1は再生のみになりベータⅡが標準になった。

音声はベータハイファイ化。

ベータハイファイ化した時にすでにハイバンド化していたが、HF900でそこからまたハイバンド化して高画質化した。

S-VHSのように一気に高画質化したのではく、ハイバンドベータハイファイはチマチマと少しずつ変化していったのだ。

再生のみ対応で録画は出来なかったベータ1がSL-HF900でベータ1sとして復活。

当時のベータファンにはベータ1こそ最高っていう思いがあった。

それをそのまま復活させて欲しい気はしたが、sがついたベータ1sとして復活したのだ。

それらをひっくるめてニューベータマックスを名乗ったのだろう。

だがしばらくしてニューは取れてベータマックスに戻った。

まあ、ニューもしばらくすればニューじゃなくなるし、ない方がスッキリしていていい。

SL-HF900の大きな特徴はジョグシャトルリング。

放送局で使っているジョグダイヤルが搭載されて、プロっぽさをアピールだ。


SL-HF900MKⅡ

240,000円。

先代のSL-HF900の発売から1年。

ベータプロがマークⅡになった。

本体はほどんど変化がないのだが、リモコンが大幅に進化した。

ワイヤレスコマンダー。

SL-HF900でも使えるので、買い換えなくてもリモコン購入だけもアリだ。


SL-HF3000

288,000円。

HF900はベータマックスの決定版みたいな感じで登場したが、このHF3000はベータプロの決定版みたいな感じだ。

この後EDベータが発売されるので、ベータマックスとしては最高峰のビデオデッキ。

VHSに比べるとコンパクトなカセットを生かしたスマートさが一つのセールスポイントだったが、SL-HF3000はそんなベータの利点を無視して巨大化、堂々たる体躯になった。

画質はハイバンドをさらに押し進めたスーパーハイバンドを搭載。

スーパーハイバンド6.0メガβIsだが、ちょっと長過ぎるネーミングもVHSに負けた要因か。


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