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2019/04/17

【映画の感想】空の大怪獣ラドン

空の大怪獣ラドン(昭和31年公開)


東宝初の総天然色の怪獣映画、それが『空の大怪獣ラドン』だ。
昭和29年公開の『ゴジラ』、昭和30年公開の『ゴジラの逆襲』は白黒。
ゴジラは昭和37年公開の3作目『キングコング対ゴジラ』からカラー化する。
ラドンはゴジラよりも先のカラー作品怪獣映画となったのだ。
制作陣もゴジラのようなヒットを期待しただろうし、気合が入りまくっただろうね。

怪獣はまず古代トンボの幼虫メガヌロンが登場する。
ラドンよりも先にこいつが登場だ。
東宝初の総天然色怪獣はラドンでもなくゴジラでもなくこのメガヌロンなのだ。
地味な色の怪獣だけどね。

でかい怪獣はいるだけで怖いが、メガヌロンみたいな小さなやつでも家に入ってこられるのも怖い。
小さいって言っても2メートルはある。
こんなのが茶の間に入ってきたら腰を抜かして失禁するぞ。
警官がピストルで撃つもまったく効果がない。
でも機関銃なら退治できそうだ。

メガヌロンの動きは不気味だしモソモソ歩く動きと音(鳴き声?)が気持ちが悪い。
トンボの幼虫という事はヤゴだが、ヤゴは水生昆虫だ。
でもメガヌロンは陸上でも大丈夫。
古代トンボだから今のやつとは性質が違い、陸でも大丈夫なのだろう。
そもそも今のヤゴはこんなに大きくはない。

このメガヌロンが人を襲っていたのだ。
こいつらの集団と人間の戦いっていうのでも映画になりそうだが、違う。
映画の前半のメインとも言うべきメガヌロンは単なるエサ。
メガヌロンを食べるやつこそ主役のラドンなのだ。

巣から飛び立って、ジープを追い越すと風で吹っ飛ぶジープ。
ラドンは口から光線を吐くでもなく、ただ飛び回るだけだ。
でもその飛び回る速度が早いので、地上にはかなりの被害が出るのだ。
ゴジラの場合はノッシノッシ歩いていたが、今回は飛び回るのでスピード感がある。
飛行機が頭の上を爆音をあげて飛んでいくだけでちょっと恐怖があるが、今回はそれが怪獣なのだから大変だ。

ゴジラは東京、大阪と破壊したが、今回のラドンは福岡だ。
ミニチュアもよく作ってあるなあと感心する。
小学校低学年ぐらいだと、もう特撮っていうのはミニチュアを作ってそれを壊すものだと知ってしまう。
雑誌なんかでも特撮の撮影風景を特集したりする。
それをわかっているからこそ、よく作ってあるなあと感心したのだね。

ラドンをそのままにしていれば被害が拡大すると、人間はラドンの退治を決定する。
ラドンはいるだけで迷惑という可愛そうな存在なのだ。
阿蘇山のラドンの巣へミサイルでバンバン攻撃すると、阿蘇山が噴火する。
この噴火のシーンが迫力満点だ。
クライマックスシーンだね。
一匹が逃げ遅れて飛び立てない。
それを気にするもう一匹はピアノ線が切れて火山に墜落、2匹ともあえない最後を遂げた。
人間がやっつけるのではなく、阿蘇山の噴火で死んでしまうのだ。
ちょっと物悲しいラストだった。