投稿

12月, 2014の投稿を表示しています

【1000文字小説】カロリーなんて気にしてられない

 腹の虫がグーと鳴り、私はベッドから跳ね起きた。時計を見て驚く。アラームが鳴るまであと二時間もある。なのに、この突き上げるような空腹感は何? 「嘘でしょ…」 私は普段、朝食を抜くのが当たり前で、コーヒー一杯で昼まで余裕で持つタイプだ。ダイエットのためというよりは、単純に朝は食欲がない。それなのに今、私の胃袋はブラックホールのように食べ物を求めている。 キッチンへ行き、冷蔵庫を開ける。賞味期限ぎりぎりのヨーグルト、バナナ、そして昨晩の残りの唐揚げ二個。唐揚げなんて普段なら絶対朝には食べないメニューだが、めちゃくちゃ美味しそうに見える。 唐揚げをトースターで温め直し、まずはヨーグルトを流し込む。次にバナナを三口で平らげ、温まった唐揚げを頬張る。美味しい。あっという間に完食。 「ふぅ…」 軽く息をついたが、満腹感は全くない。むしろ、もっともっとと胃袋が叫んでいる。一体どうしたというのだろう。お腹がすごく空く夢を見たのが原因? 三十路前なのに成長期が始まった? 出勤までまだ時間がある。私は手早く支度を整え、家を出た。向かう先は近所のローソン。 店内の明るい照明の下、私は食べ物を探して目を皿のようにする。おにぎり、サンドイッチ、菓子パン、ホットスナック。目につくもの全てが美味しそうに見える。いつもはカロリーを気にして手に取らないような、こってりとした総菜パンや、あんこがぎっしり詰まった菓子パンを次々とカゴに入れていく。 レジに並びながら、ついでにホットスナックのケースに目をやる。揚げ物の油っぽい匂いがたまらない。普段なら絶対に避けるであろう「ピザまん」と「Lチキ」を注文した。店員さんが手際よく袋に入れてくれるのを、私はまだかまだかと待ちわびる。 店を出て、温かいピザまんを頬張る。ホカホカで美味しい。続いてLチキにかぶりつく。いつもの地下鉄の改札を抜ける時も、手に持ったスティックパンをモグモグと食べていた。周りの視線が痛い気もするが、今はそれどころではない。 電車に乗り込み、座席に腰を下ろす。カバンから新たに取り出したチョコクロワッサンを、周りの乗客なんてお構いなしに、急いで口に運ぶ。口の中は甘さとバターの風味でいっぱいだ。 まずい。会社に着くまでにお腹を膨らませないと、仕事どころじゃない。会社に着くまで空腹はおさまるのか。私はひたすらパンを咀嚼し続けた。カロリーなんて...