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2017/07/06

【1000文字小説】バスを待っている



七月には入ったばかりで、まだまだ梅雨は明けそうにない。

今日も朝から冷たい雨が降り続けていた。しとしと降るというよりは結構強い雨だ。満開の頭を垂れているあじさいを見ながら、中学一年になる由子はバス停へと向かっていた。

市の中心部にある大型書店へ行くのだが、晴れていれば自転車で行けるのにと思うと、青空が待ち遠しい。

バス停に着くと待っている人の姿はどこにもない。時刻表を見るとバスは五分前に出たばかりだった。バスは雨降りだと遅れる事が多いので、一、二分前に出たばかりかもしれない。

次のバスまでは後十五分。長いなあ、と由子は小さなため息をついた。

色とりどりの傘の花が、由子の後ろに並びはじめた。雨だからといって人がみな家でじっとしているわけではない。

二台ほど回送のバスを見送った後、行き先を記したバスの姿が見えた。腕時計を見るとやはり雨のせいか定刻よりも遅れていた。車内はそれほど混んではいない様子だ。

が、そのバスはバス停に近づいてきても、スピードを落とさないし、ウィンカーも出さず、一向に止まる気配がなかった。そして、並んでいる数人を残したまま、バスはそのまま止まらずに走り去ってしまった。

一体どういう訳?
バスは満員というわけではなかったし。

後ろを振り返ると、並んでいた人達も怪訝そうな顔をしたり、不満そうに文句をつぶやいたりしている。

次のバスが来るまでに、由子の後ろにはさらに人が並んだ。何しろ一回飛ばされたのだから。

ようやく二台目のバスの姿が視界に入ってきた。だがこのバスも止まる気配を一向に見せなかった。
そして、やはりそのまま走り去ってしまったのだった。

どういう事だ。こんなにたくさんの人が並んでいるというのに!

腹立たしさがこみ上げてきた。

怒った口調でどこかへ電話をしている人がいる。バス会社に電話しているのだろうか。こんなところに並んでいられるかというふうにタクシーを拾って行ってしまった人もいた。

三台目のバスがやって来る頃には、さらにバスを待つ人の列は増えていた。

今度もまた同じように走り去るのではないか。そんな疑問が頭に浮かんだ。

思った通り、バスはバス停に近づいても、少しもスピードを落とす気配がなかった。

どうしてなの。止まってよ。

そう思ったとき、誰かが由子の身体を前方へ強く押した。大きくよろけた由子は小さな叫び声を上げ車道へと転がった。

蒼白な顔を上げると、バスが眼前に迫って来る。

バスは止ま

(了)