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2013/10/28

【1000文字小説】ハンバーガーを買いに行く



よく晴れた月曜日の午後、悟郎はハンバーガーショップを訪れた。近所にある全国チェーン店だ。昼時を過ぎたので、それほどの混雑はない。

「いらっしゃいませ」

「ええとね」

「ご一緒にポテトはいかがですか」

「ご一緒にって、まだなんにも頼んでねーよ」

「あ、失礼しました。ご一緒にコーラはいかがでしょうか」

「だから、まだ何も頼んでねーよ」

「あ、失礼しました。ご一緒に…」

「フイッシュバーガーセットね」

「ご一緒にフィッシュバーガーセットですね」

「ご一緒じゃないけどな」


「フィッシュバーガーの方はお作りしますので…」

「ああ、待ち時間があるのね。いいよ、いいよ。待ってるよ」

「ありがとうございます。これからお作りしますので、3ヶ月程お待ち下さい」

「おい、3ヶ月って、これから魚釣ってくるのかよ。そんなに待てないよ」


「こちらのビーフバーガーセットなら…」

「おお、すぐに出来るの?」

「2年程でお出し出来ます」

「2年て、長くなってるだろ」

「お待ち頂けますか」

「待つわけないだろ。4、5分で出来るやつはないのか。年じゃなくってな。俺腹へってんだよ」


「失礼しました。スーパービーフハンバーガーセットならすぐにお出しできます」

「じゃあ、それくれ」

「ありがとうございます。セットのお飲物は何になさいますか」

「ええと、何があるの」

「コーラとコーラにコーラかコーラです」

「コーラしかないのかい。だったら最初から聞くなよ」

「コーラ参ったな」

「つまんないから」


「失礼しました。ご一緒にこちらはいかがですか」

「そうだよ。ご一緒にっていうのはこのタイミングで言うんだよ」

「今ならガソリン満タンです」

「って、何で一緒に車売ってんだよ。ここハンバーガー屋だろう。いらないよ。車ならこの間買ったばかりだよ」

「失礼しました。またお願いします」


「またお願いされても買わないよ。じゃあ会計してくれ」

「ハイ、お会計は525円になります」

「じゃあ、これ、10,000円で」

「お返しが9,475円になりますね。ご確認下さい」

「ちょうどあるよ」

「店長、10,000円はいります」

「お前、10,000円入りますって、自分のポケットに入れてるじゃん」

「見つかりましたか」

「見つかりましたかって、目の前でやるなよ」


「店内でお召し上がりですか」

「10,000円はそのままかい」

「お持ち帰りですか」

「持って帰るよ。って何でお前もついてくるの。持ち帰られたいの?」

「ご一緒ですから」

(了)

昨日の日本シリーズ第2戦、楽天vs巨人は2-1で楽天勝利! マー君完投で負けないエースの本領発揮。東京ドームに移動しても頑張って欲しいですね。


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