ウルトラマンレオ DVD VOL.5 |
こうもりだからバットンだ。
前回は狼男ウルフ星人。
安易なネーミングが続く。
子供達が覚えやすいようにと考えてのことだろうか。
第18話『見よ! ウルトラ怪奇シリーズ 吸血鬼! こうもり少女』
マッキー2号でパトロール中のゲンと白土隊員。「朝日っていいなぁ」
「ああ、しかしこいつは暑くなりそうだな」
ナレーション「この日、太陽は突然変化し、気温もまた上がらなかった。
東京地方を襲った異常気象の原因は、MACにおいても直ちに追究されていた」
「隊長、データを取り寄せました」
紙にプリントアウトされたデータを見るダン。
「東京上空にフィルターみたいなものが出来ているのか」
ダンはマッキー3号も出動させた。
最初にパトロールしていたマッキー2号は何も見つけられなかったのだ。
マッキー2号と合流したマッキー3号。
ゲンは前方に謎の物体を見つける。モニターで確認すると、それは「こうもりだ」
「吸血こうもりだぞ」
「ちくしょう。一匹も地上には下ろさんぞ」
マッキー2号と3号が攻撃し吸血こうもりを退治した。
こうもりがいきなり現れたわけではないだろうが、今までどこにいたのか。
宇宙からきたのか、地球にいたのか。説明は何もないが、まあいつものことだ。
平和そうな人々の映像。
「マッキー2号、日没まで東京上空を警戒せよ。3号機は一足先に本部に戻って、この事件の調査にかかる」
マッキー3号はMAC基地へと帰還する。
「一匹も逃してないだろうな」とゲン。
「大丈夫さ、万一一匹くらい逃したところで単役じゃ何も出来やせんよ」と白土隊員。
MACは弱いくせに、何も出来やせんよという余裕は一体どこから来るのか。
珍しく戦果をあげたからか。
場面は変わって散歩中の百子、トオル、カオル。
うめき声が聞こえるが、草が生い茂っていてよくわからない。
男だからという理由で、トオルが見に行く。
紫の服を着た傷だらけの少女が倒れていた。
「悪い人に追われているんです。居場所が分かると必ず殺されます」と少女。
「分かったわ、私の家にいらっしゃい。とにかく傷の手当てをしなくちゃ」と百子。
百子は少女に肩を貸して歩き始める。トオルは不可解そうな顔でその後姿を見つめる。
随分と簡単に人を信じる百子。この時代は宇宙人や怪獣出現が日常茶飯事なのだから、少しは警戒したらどうなのだ。
アトラー星人の時も、宇宙人は女性の姿をしていたんだし。
百子の家。
カオルが少女の看病をしている。
「お姉ちゃん、あの人、少し変だと思わない」とトオル。
「何が」と聞き返す百子。
「だって、あんな怪我してるのにお医者さん呼ばないでって言ったりさ」
「さっき言ってたじゃない。悪い人に追われてるんだって」
少女の正体は怪獣バットンなのだが、ウソは言ってないのだろう。少女からすれば、MACは悪い人だ。見つかれば殺されてしまう。
「でも」
「トオルちゃん、人を疑ってかかるなんていけないことよ。人は信じあい、助け合わなくちゃいけないのよ」
「でも、お姉ちゃんも見たでしょ。あの人の傷はヤケドだよ」
「そうよ、だからどうなの」
「MACが東京を襲ってきた吸血こうもりを撃滅したばかりなんだよ」
「あの人が吸血こうもりだって言うの」
「吸血こうもりの大群は、MACに焼かれて落ちたんだよ」
「バカね、トオルちゃん。あの人は人間でしょ。どこに羽根が生えてる」
「でも」
「つまらない事言うもんじゃないわ。それより早く傷薬買いに行ってちょうだい、はい」と財布からお札を取り出しトオルに渡す。
トオルは釈然としない顔でお金を受け取った。
ウルトラマンレオの世界では、人間の姿をした怪獣や星人は当たり前だ。トオルはそれで少女を疑っているのだろう。コウモリが人間に変身しているのなんて当たり前の世界、百子は呑気すぎるのだ。
翌日、百子が出かけた後、百子が準備した食事をこんなもの食えるかという感じで犬にやる女性。
カナリヤをうるさいと息を吹きかけて殺してしまう。
犬はレオのペットだったロンだろうか。カナリヤは今回の為に出てきたのだろう。
スポーツセンターのゲン。トオルは女性が怪しいとゲンに言おうとするが、その様子を目ざとく見つけた百子に止められる。
「トオルちゃん、あの人は悪者に追われて怯えているのよ。 そこへおおとりさんが調べに行ったらどう思う」
何も言えないトオル。
「第一、おおとりさんは忙しいのよ。そんなバカな空想で無駄な調査をさせちゃいけないでしょ」
トオルはちょっと怒ったような口調で「わかったよ」
バカな空想ではなく、ウルトラマンレオの世界では宇宙人や怪獣が人に化けるのが当たり前の世界だ。百子の方がバカな空想っぽい。
百子の家。
三人と少女は食卓を囲んでいた。
「おいしい?」
「うん」
「でもよかったわね、この分だと一週間くらいで全快ね」
「ありがとうございました」
カオルは少女が食事を全然食べていない事に気づき尋ねた。
「どうしたの。全然食べないじゃない」
「ごめんなさい。お昼に百子さんが作ってくれた食事が美味しかったので、つい食べ過ぎちゃって」
「ずっと寝てたんじゃ食欲もわかないわね。いいのよ、残して」
「すいません」
トオルも食欲がないようだ。
「トオルちゃん、どうしたの」
「だって、僕のカナリヤ」
真夜中になると、少女は起き出した。
トオルが寝ぼけて起きかける。
「僕のカナリヤ、どこ行った」
少女のブローチが光ると、トオルは眠りにつく。眠らせる光線なのだろう。
少女は外に出て行った。
ナレーション「この夜から、吸血鬼の噂が街で囁かれるようになった」
ブローチが光り、少女は飛び上がる。飛んでいる時は怪獣の姿で、人を襲い血を吸う時は少女の姿になっている。
ナレーション「吸血鬼に襲われた者は吸血鬼になる。人々は夜出て歩かず、昼間は吸血鬼と噂された人を襲うようになった。もちろんMACは必死になって吸血鬼を探していた。既に吸血鬼になってしまった人々を治すには本物の吸血鬼の血清を注射するしか方法がなかった」
その夜、百子が帰ってくると、トオルとカオルは既に血を吸われていた。
百子もまた血を吸われ吸血鬼になる。
パトロール中のMAC。百子の家の近くだ。
白土隊員に「様子見てきてやれよ」と言われて見に行くゲン。
百子とトオル、カオルが揃っているのを見て安心する。誰がどう見ても様子がおかしいがゲンは気づかない。戻ろうとした時にようやく3人の様子おかしいと気づく。3人はゲンに襲いかかるが相手は女子供、瞬殺するゲン。
部屋の奥で何者かが動いた。
「誰だ」
少女がブローチを光らせた。光にゲンがひるむと窓ガラスを割り外に逃げた。
外には白土隊員が待っていた。「止まれー」
後ろからはゲン。「待つんだ」
少女は怪獣バットンに変身した。
こんな姿になれるのならば、最初にMACから攻撃を受けた時に変身、MACを撃退できなかったものか。
血を吸わないと巨大化出来ないのだろうか。
「うわ、くそ、化け物」と白土隊員は銃撃する。バットンは羽根を羽ばたかせ突風を起こす。ウルトラQに出てきたペギラのようだ。
白土隊員はゴロゴロと転がった。
「うわー、おおとりー、助けてくれー」と情けない。こうもりの一匹でも逃すからこんな事になるのだ。
ゲンはウルトラマンレオに変身する。
こうもりらしく飛び上がり、上空から攻撃してくるバットン。
見上げるだけのレオだが、自分も飛べばいいんではないか。
レオはマッハ7で飛べるはずだ。
羽を羽ばたかせレオを吹き飛ばそうとするバットン。レオはビルに倒れこむ。
4万8千トンのウルトラマンレオが転がるくらいなのだから、白土隊員などひとたまりもないはずだがな。
レオはエネルギー光球で邪魔なバットンの羽を吹き飛ばした。
羽じゃなくて本体に当ててさっさと倒してしまえばいいのにな。
血清を取るために弱らせているのか。
そこから攻勢のレオだったが、バットンの耳から発した光線をモロに浴びる。
ビリビリビリビリって感じで悶えるレオ。倒れこんだところを牙で襲い掛かられる。
だが牙をもぎ取ってバットンに投げつける。
バットンを弱らせたところでレオは注射器を取り出した。バットンの血を抜くレオ。血清を作る為だ。
最後はレオキック。いつもとは違い両足が光った。
ナレーション「レオが怪獣バットンから取った血で直ちに血清が作られた。吸血鬼になっていた大勢の人々が救われた」
ゲンは病院から出てきた百子、トオル、カオルを出迎えた。
少女がいたような草むらから、今度は子犬を拾ってくる百子。
平和な風景で終了。
(昭和49年8月9日放映)
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