【1000文字小説】抱負は明日から…たぶん
2018年1月1日~5日(元旦~仕事始め)
元日は1時間、参考書を広げて机に向かった。
「今年こそ英語をマスターして、海外案件に挑戦する!」と意気込む。
でも手が重く、ページをめくる指は鈍い。「順調なスタート? 気持ちは元旦から寝てるよ…」と心の中でツッコミ。
2日目も30分だけ机に向かった。
単語を眺めるだけで頭がぼんやりする。「あれ、昨日覚えたはずの単語、もう忘れてる…?」と早くも焦る。
それでも、「明日はもっとやろう」と小さな決意を胸にしまった。
3日目、1月3日。
この日は、結局テキストに触れることができなかった。
机の上には参考書が置かれたまま、私はテレビの前でごろごろ。お昼寝もしてしまった。
「…もう三日坊主の予感しかしない」と自己ツッコミ。
心の片隅で「明日こそ」とつぶやきながらも、単語帳の存在がじっと私を見つめる。
4日の仕事始めは現実的だった。メール処理や打ち合わせに追われ、帰宅は夜の10時。
疲労で頭がぐるぐるする。テキストを開こうとしたが、手は止まった。「今日も無理か…」とため息。
5日、金曜日。週末の解放感が胸をざわつかせる。
「三日坊主…いや、もう五日坊主?」計画表は乱れ、英語学習の抱負は霞む。
午後3時、課長の山村が声を上げる。
「皆、仕事始めだし、今夜は一杯どうだ? 新年会も兼ねてさ!」
胸がぎゅっと締め付けられる。帰宅は終電コース。今日も勉強できない。二日連続で休めば、再開は難しい。「私の抱負、早くも沈没か…」
「田辺さんも来るよな?」
喉に言葉が詰まる。手が膝の上で小さく震える。
山村はニヤリ。「デートの予定か? ふふ、まあまあ、正月早々堅いこと言うなよ。仕事の付き合いも大事だろ?」
同僚たちも囃す。「来いよ」
抗えず、頷いた。肩が自然に落ちる。「結局、社会の圧力には勝てない…」
居酒屋への足取りは鉛のように重い。
ビールを前にしても心は晴れない。「これじゃ英語どころじゃないじゃん…」と、また自己ツッコミ。
深酒して帰宅は深夜1時。
泥のように眠る。
それでも、眠りの中で「明日こそテキストを開こう」という小さな決意が芽生えた。
2018年最初の週末は、ほろ苦いスタート。
でも、自己ツッコミを入れながら前向きに考えれば、少しは気が楽になる。