ダイキャストのちょっと重いオモチャだ。
持ち主が取りに来ると思っていたが、一週間たってもそのまま置いてある。
TVでのMACの不甲斐なさに腹を立てて捨てたのかな。
第24話『美しいおとめ座の少女』
MAC基地。「隊長、宇宙船です」
「何?かなりのスピードだな」
「このスピードでは、地表に激突します」と会話しているが、ただ見ているだけのMACの隊員達。
出動して地球に激突する前に何とかしたらどうだ。
東京の都心とかに激突されたらエライことだぞ。
案の定、どこかに激突した宇宙船は大破した。
炎の中で、宇宙船に乗っていたっぽい少女と老人がいた。
「おじいさま、大丈夫? おじいさま、しっかりして」
MACは宇宙船が墜落してから、墜落地点のBX003地区へ出動した。
遅いよな。
パトカーみたいにサイレンを鳴らして急行。
なんか大きな装置を背負った隊員もいるぞ。
でもこの隊員は取り立ててなにも見つけず、ゲンが金属片を見つけた。
「隊長、地球のもんじゃないですね」
「よーし、この地区のパトロールを強化しよう」
金属片どころか、宇宙船自体が地球のものではないんではなかろうか。
翌日、ゲンと佐藤隊員がマックロディーでパトロールしている。
病院では少女が往診を断られていた。
病院から出ても、病院を恨みがましく睨みつけている。
怖いな。
少女は走り出し、マックロディーの前に飛び出した。
慌てて降りるゲンと佐藤隊員。
何も言わずに行こうとする少女を、ゲンは呼び止めた。
「君、顔に泥が。これで拭きなさい、さぁ」
と言いながら白いハンカチを差し出すゲン。
少女はドロをぬぐうとハンカチを返し、どこかへ行ってしまった。
ゲンは道路に何かが落ちていることに気づいた。
「宇宙金属」
ゲンは少女を追おうとしたが、少女はもう見当たらない。
「おい、どうかしたのか」と佐藤隊員。
「いえ、何でもないです」
何でもないですって、なぜ秘密にした?
下心があるのか、ゲンよ。
夜の城南スポーツクラブ。
トオルやカオルや百子が帰った後、昼間の少女が現れた。
「お願いです。助けてください。おじいさまが死にそうなんです」
ゲンの職場を探していたのだろうか。
「君は、地球人じゃないね」とゲン。
視線を交わす二人。
間合いを測っているようだ。
「お願いです。助けてください。お願いします」
ゲンは少女についていくことにした。
「ここです」
そこには老人が寝ていた。
「おじいさま、しっかりして」
ゲンは老人の額に手をあてた。
「ひどい熱だ。早く病院に連れて行かないと」
だが少女は、地球人は信用出来ないと言って病院へは行きたがらない。
病院を色々回って、信用出来ない出来事があったのだろう。
ゲン以外は誰も自分の顔についた泥を指摘してくれなかったので、信用出来ないのだろうか。
「じゃあなぜ僕を」
「あなたは地球人じゃないわ。それに、いい人だわ。お願い。助けて。助けて下さい」
やはり、いい人の判断基準は顔についた泥のチェックなのだろう。
うら若き乙女の顔に泥がついたままなのに、誰も指摘してくれなかったのだ。
誰か言ってくれてもいいんじゃないの?と地球人に対して不信感を抱くのも無理はない。
「よし、出来るだけやってみよう。水を汲んできて」
「はい」
ゲンは少女と老人を看病した。
そして何とか峠は越えたようだ。
「もう大丈夫」と微笑むゲン。
ゲンのやったことと言えば、爺さんの額にタオルを乗せただけだ。
こんなことだけなら、少女一人でも出来るんじゃないか。
外に出て一休みする二人。
ゲンは昼間拾った金属片を取り出した。
「はい、落し物」
「あ、あなたが持ってたの。これね、おじいさまがお誕生日にくださったの」
ゲンはその金属片を少女の左胸につけた。
「よく似合う」
二人は笑いあった。
平和だな。
ゲンは夜空を見上げて言う。
「あ、綺麗な星空だ」
「綺麗ねー」
星空を見上げる二人。
「あなたの星はどれ」
「もう無いんだ。悪い星人に滅ぼされてしまった。君の星は」
「私の星はね、あれ」
少女が指差すと、星と星がキチンと線で結ばれておとめ座になった。
「私のふるさと、サーリン星は、おとめ座で一番美しい星でした。でもある日、おじいさまの作ったロボットが反乱を起こしたんです」
回想でロボットが暴れている。
「人々はみな殺され、サーリン星はおとめ座で一番醜い星になってしまいました」
「それで君達は逃げてきたの」
「ええ、でもきっと追いかけてくるわ。ロボットにはまだおじい様が必要なの」
「大丈夫。その時はMACが、いや僕が守る、守ってみせるよ」
「本当?」
「うん」
「いつかまた、美しいサーリン星にきっと帰れるわよね」
「ああ、帰れるさ」
シャワーを浴びているゲンのもとへ、トオルが映画の誘いに来た。
「悪い。今日はいけないんだ」とゲン。
シャワー室の外には百子とカオルがいる。
「おおとりさん行けないんだってさ」
「そう」
そこに口笛を吹きながらゲンが現れる。
「ねぇ、MACのお仕事?」
「えっ? ちょっとね」
仕事なら仕方がないと百子は言うが、あまりにも明るいゲンを怪訝に思わないのか。
どう見てもMACの仕事じゃないぞ。
浮かれて少女の元に向かうゲン。
「どうぞ、おおとり君じゃな。話は、あの子から聞いています」
出てきたのは老人で、ゲンはちょっとガッカリかな。
「お体、いかがですか」
「ああ、この分なら、あと十日もすれば起きれるじゃろう。これもみな、あなたのおかげだ」
「いやぁ、僕なんか。きっと、彼女の祈りが通じたんですよ」
そこに少女が花を持って現れる。
「おじいさま、あっ」
「やぁ」
「この花綺麗でしょー。河原に咲いてたのよ」
「ああ、いいにおいだ」
「このお花の名前何て言うの?」
「うん、これはね、野菊っていうの」
「野菊?まぁ、可愛い名前ね。サーリン星にもね、このお花にそっくりの花があったのよ。ねっ、おじいさま」などと喋っている時に、マックシーバーに連絡が入った。
「おおとり隊員、大至急本部に戻って下さい。また宇宙船です」
「宇宙船? はい、すぐ戻ります」
「ロボット警備隊だわ」
「とうとうここまで追ってきたか」
「おじいさま」
「ここは僕に任せて」
「しかし」
「大丈夫、きっと僕が何とかします。ですから、ここを動かないで」
「頼みます。私はもうどうでもいい。だが、この子だけは助けたい」
「おじいさま」
「いいかい、絶対ここを動いちゃダメだよ。じゃあ」
宇宙船と向かい合うマッキー2号とマッキー3号。
「命令するまで決して攻撃するな」とダンの命令だ。
ダンは宇宙船に呼びかける。
「宇宙船へ告ぐ。こちら宇宙パトロール隊、至急応答したまえ」
「我々はサーリン星ロボット警備隊だ。逃亡者を追ってやってきた。地球に危害を与えるつもりはない。逃亡者ドドルとカロリンを引き渡しなさい」
「ちくしょう。勝手なことを言いやがって。よし見てろよ」とゲン。
ダンの命令を無視して勝手に攻撃するゲンだったが、宇宙船からの光線で撃墜されてしまう。
「うわあっ、誰が攻撃しろと言った。墜落するぞ。早く脱出しろ」って、コントか。
「我々の力が分かっただろう。1時間だけ時間を与える。それまでに逃亡者ドドルとカロリンを連れてきなさい。さもなくば地球を破壊する」
我々の力が分かっただろうって、残念ながら分からないのだ。
地球に来る星人は誰もがMACには負けないからだ。
実力を測る物差しにはならないのだね。
MACの隊員達が集合している。
「命令を無視する奴があるか」とダン。
「すみません」
すみませんですんだらMACはいらないぞ。
いらないか。
「一刻も早くサーリン星人を見つけ出すんだ。分かったな」
地球の安全を守るため、サーリン星人をロボット警備隊に引き渡すというダンの考えに、「そんなひどい」とゲン。
ダン隊長はこの言葉で、サーリン星人をゲンが知っているらしいと察したようだ。
「ゲン、お前、サーリン星人の居場所を知っているな。知っているんだな。言うんだ」
「嫌です」そう言ってゲンは走り去る。
二人の下へ行くゲン。「ここは危険です。早く逃げて」
「しかし、おおとり君」
「事情を説明している暇はありません、さぁ、早く」
まあ、説明しなくてもわかるだろう。
ゲンは二人の避難をさせるが、途中でダンに見つかる。
「私はMACの隊長モロボシダンです。さぁ、急いで下さい。脱出用のロケットが用意してあります。ゲン、何をしてるんだ。早く二人をロディーに」
脱出用のロケットって、一体どこに脱出するのだ。
とりあえず地球から出ていけば、地球に危害は及ばないという考えなのだろうか。
そんな考えはないのかゲンは「はい。さあ早く」と二人を促した。
さすが隊長だなどと思っているのだろう。
しかし、途中で宇宙船に見つかり攻撃を受ける。
「隊長、二人を頼みます」
「分かった」
少女と老人を乗せロディーを走らすダン。
ゲンはウルトラマンレオに変身した。
宇宙船にとび蹴りするレオ。
宇宙船から手と足が生えてロボットに変身した。
パンチ、キックを連続で見舞うが全く効いていないようなロボット怪獣、ガメロット。
逆にガメロットのパンチ1発で吹っ飛んでダウンするレオ。
ガメロットは倒れたレオにストンピングの嵐だ。
そんな不甲斐ないレオの様子を見た少女カロリンは、ダンのマックガンを引き抜いて立ち向かっていく。
ウルトラマンレオがゲンだとわかっているのだろう。
「レオー、レオー」と叫びながら攻撃するが効果はない。
MACの兵器が役に立ったことはほとんどないのだ。
少女はロボットに変身した。
「少女カロリンはロボットだった」とナレーション。
ロボットが変身した姿が少女だったのだ。
少女は空を飛び、ガメロットの胴体にぶつかっていった。
それからのレオは大ハッスル。
ガメロットの手を引きちぎり、飛んで逃げようとした本体に投げつけた。
レオキックでガメロットの首を叩き落とした。
しばらく動き回った後、倒れて爆発するガメロット。
ナレーション。
「少女カロリンはロボットだった。彼女は宇宙からの逃亡者ドドル博士によって作られ、人を愛することを知ったアンドロイドだったのだ」
同じ博士に作られたとは言えガメロットは、人を愛することを知らなかったのかな。
夕暮れ。
カロリンの墓の前に老人とダンとゲンがいる。
「たとえアントロイドでも、この子は私の孫です。これからもずっと一緒にいるつもりです」
「じゃあ、ずっとこの地球で暮らすんですか」
「この子がここに眠っている以上、ここが私の故郷です。なぁ、カロリン」
でもロボット警備隊の目的が少女ではなく老人であるならば、ロボット警備隊が再び襲来するんではないだろうかね。