M高校は無理だと担任の水野に言われた。
この成績ではM高はおろかC高でさえも危ういぞ。
けれど早紀はどうしてもM高校へ行きたかった。大好きな同級生の太田君がM高校へ行くからだった。
M高校に行きたいなあ。
そう思いながら毎晩眠りについた。
ある夜、夢の中に一人の女性が現れた。真っ黒な髪の毛が腰まで伸びている、どこかしら神々しさを感じさせる女性だった。
「あなたはM高校へ行けますよ」
いつもの早紀は夢など覚えていないのだが、目が覚めてもなぜか忘れずにその言葉をしっかりと覚えていた。
「あなたはM高校へ行けますよ」
夢の中のこの言葉を早紀は信じた。信じて、勉強した。
あたしはM高へ行けるのだ。
そして春が来た。早紀は無理だと言われたM高校に、見事合格を果たした。
大田君と同じM高に通う事になった早紀は、早速告白した。太田君はあっさりとOKした。最初はいい感じだったが、大田君は乱暴なところもあり段々嫌になった。
以前M高校に行けると告げた、あの髪の長い女性が夢に出て来た。
「太田君とは別れなさい」
早紀はまた目が覚めてもその言葉を覚えていた。
そして、早紀はその言葉に従って太田君とは別れた。
これでよかったのか?
太田君はすぐに他の子とつきあい始めた。早紀とつきあっているときに二股をかけていたのだった。別れてよかったと早紀は思った。
夢の言葉を信じよう。あの女性はわたしを助けてくれる。
大学進学も女性の言葉に従った。就職先も然り。S市から東京に出て来た。
ある日つきあっていた男性からプロポーズされた。結婚してもいいと思っていたが即答はしなかった。夢の中の女性が何と言うか。もしかしたら反対するかもしれない。
「別れなさい」
夢に出て来た女性は言った。
夢に従った方がいいのか? 彼は明るくて一緒にいると楽しかった。会社員だが将来を嘱望されている。部下の面倒見もいいようだ。友達も多く、人気者だ。それでもあの女性の言うことだ。間違いはないのだろう。
その内に男性は転勤になり、早紀とは疎遠になった。
これでよかったのだろうか。とんでもない失敗をしたのではないか?
夢の女性などに頼らずに自分で決めればよかったか?
だが後悔先に立たず。
そのうち、男性が結婚したという噂を聞いた。
そうか、結婚してしまったのか。
男性の結婚式に行った友達から写真を見せてもらった。結婚した相手は髪が腰まである美人だと言う話だった。
夢の中の女性と同じ顔をしていた。(了)
夢の中のこの言葉を早紀は信じた。信じて、勉強した。
あたしはM高へ行けるのだ。
そして春が来た。早紀は無理だと言われたM高校に、見事合格を果たした。
大田君と同じM高に通う事になった早紀は、早速告白した。太田君はあっさりとOKした。最初はいい感じだったが、大田君は乱暴なところもあり段々嫌になった。
以前M高校に行けると告げた、あの髪の長い女性が夢に出て来た。
「太田君とは別れなさい」
早紀はまた目が覚めてもその言葉を覚えていた。
そして、早紀はその言葉に従って太田君とは別れた。
これでよかったのか?
太田君はすぐに他の子とつきあい始めた。早紀とつきあっているときに二股をかけていたのだった。別れてよかったと早紀は思った。
夢の言葉を信じよう。あの女性はわたしを助けてくれる。
大学進学も女性の言葉に従った。就職先も然り。S市から東京に出て来た。
ある日つきあっていた男性からプロポーズされた。結婚してもいいと思っていたが即答はしなかった。夢の中の女性が何と言うか。もしかしたら反対するかもしれない。
「別れなさい」
夢に出て来た女性は言った。
夢に従った方がいいのか? 彼は明るくて一緒にいると楽しかった。会社員だが将来を嘱望されている。部下の面倒見もいいようだ。友達も多く、人気者だ。それでもあの女性の言うことだ。間違いはないのだろう。
その内に男性は転勤になり、早紀とは疎遠になった。
これでよかったのだろうか。とんでもない失敗をしたのではないか?
夢の女性などに頼らずに自分で決めればよかったか?
だが後悔先に立たず。
そのうち、男性が結婚したという噂を聞いた。
そうか、結婚してしまったのか。
男性の結婚式に行った友達から写真を見せてもらった。結婚した相手は髪が腰まである美人だと言う話だった。
夢の中の女性と同じ顔をしていた。(了)
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